実録!! 探偵日記




実録探偵日記       其の一
 このシリーズの投稿依頼があったのは、昨年の暮れの事である。

「探偵の行動は、多くの人の興味のある事だから。」と言う理由らしいが

人が思っているよりずっと地味であるし、依頼者のプライバシーと調査の

ノウハウ等外には出してならない事が多すぎる。

 そこで固有名詞、職業等を変えてノンフィクションタッチで書きたいと思う。

探偵事務所には様々な相談の電話がかかってくるが一番多いのは浮気である。

そのほかに、行方不明者の捜索、結婚調査、企業調査、時には「あの蕎麦屋の

出汁の作り方の秘伝を探って欲しい。」と言ったものまである。

 そのなかで依頼者が一番興味のあるのは、その費用である。

浮気調査の場合 鹿児島では、一日あたり3万5千円から7万円が相場である。

それに遠距離の場合は交通費、宿泊費が加算される。

更に一日8時間を超えると1時間あたり1万円である。

 依頼者の多くは探偵が万能であり、1回の浮気を確実に証拠が取れるものと

思っている向きが多い。


   「この人は疚しいところがあるな!」と言うのは3日も尾行すれば解る。

ところが探偵に課せられているのは「裁判で負けない絶対的な証拠」である。


 それは刑事の仕事ににているが、調査環境は全く違う。

一つの事件に7から8人の班であたり、警察手帳で聞き込みをして、無線一つで

非常線も張れる

それでも容疑者逮捕まで1月単位で内偵を重ねるのである。


 探偵の場合1人ないしは2人でそれを地道に行うのである。

特に高齢者の不貞行為(浮気相手とセックスすること)の証拠を押さえるには

時間がかかる。(若者のようにしょっちゅうしないから。)


 私の調査料は1日4万円にしている。 ただ悔しいのは、あと一歩のところで依頼者の経済力が底をつく事である。

だから私は大方10日分で1月までは仕事をする。

着手金20万円、成功報酬20万円である。

 儲けは少ないが「今日は3回も顔を合わせたしまずいな!」と思えば泳がせる

事もできる。

これが一日4万円だとそうは行かない、8時間分の金をもらっているので、

無理してつけ回し、結果的に感づかれて全てが水の泡である。


 よい調査をしようと思えば、最低2週間はかかるのである。

2週間で終われば儲けはあるが、一月もかかれば完全赤字である。


 それでも、依頼者は藁をもすがる思いで電話をかけてくる。

だからといって、よい仕事をして浮気の証拠を押さえて所で

ニコニコと大喜びするわけではない。


 何のために仕事をするのか、それは相方の愛情に不安を感じながら、

夜も眠れずにいる依頼者がせめて眠れるようになり、留まっていたところから

一歩を踏み出すお手伝いをすることである。

 一番、嬉しいのは「いろいろあったけど、今は許しあえて夫婦仲良くやってます。」

「今は再婚して幸せです。」と頼りをもらう事である。

これがあるから大赤字の事務所でもやって行けるのである。






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